人間赤裸々の姿を、人の好い侠徒の世界に置いて眺めた大人の童話とも言うべき、諷刺と忍場を彩る東映の異色野心作。登場人物の総てが主人公であり見る者をまごころの世界にひき込む映画の抒情詩。
神の如き善意を抱きつつあらゆる世人の嘲弄と迫害とそして貧苦の中に、妻との愛情一途尚且つ自ら厳しく絵画道に生き抜いた又平の半生を描く。思わず微笑を誘う彼の奇異な人生の中に、切々と胸を打つ善意と愛情と哀・・・
歌舞伎十八番「鳴神」の映画化で、北山戒壇堂建立事件をめぐる朝廷、叡山の悪僧、庶民の姿などを描きながら、鳴神上人という高僧が絶世の佳人・たえま姫の魅力に堕落僧となる、目も彩な人間模様を浮彫りにした絢爛・・・